「自社の製品は知られているのに、採用の応募が集まらない」「販促用のSNSは運用しているが、採用にはまったく効いていない」。こうした悩みを抱えるメーカーの採用担当者は少なくありません。
その原因の多くは、SNSの使い方そのものよりも、販促と採用で発信すべき内容が違うことが整理されていない点にあります。製品の魅力を伝えるSNSと、働く人や仕事の中身を伝えるSNSは、届ける相手も、追うべき数字も異なるからです。
本記事では、メーカーが採用にSNSを使うときに押さえたい販促用SNSとの違い、採用目的でのSNSの選び方、生産・技術・営業の職種別の発信例を解説します。あわせて、運用でつまずきやすい壁とその対策、メーカーの事例も紹介します。
なお、弊社「ADDICT ONE」では、採用に特化したTikTok運用代行サービスを提供しています。企画から撮影・編集・分析まで一貫して代行していますので、社内に運用のリソースがない場合は、ぜひADDICT ONEの無料相談へお申し込みください。
メーカーの採用が苦戦するのは「社名・仕事・職場」が求職者に見えていないから
製造業の就業者は2025年時点で1,033万人、そのうち34歳以下の若年層は258万人です(※1)。若手の数そのものが限られているなかで、メーカーに応募が集まらない理由の多くは「求職者から会社の中身が見えていない」ことにあります。
見えていないものは、大きく次の3つに分けられます。
自社が3つのどこでつまずいているかを先に特定しておくと、後半で扱うSNSの選び方や発信する内容を決めやすくなります。
※1 出典:経済産業省・厚生労働省・文部科学省「2026年版ものづくり白書」概要(総務省「労働力調査」を基に作成)
社名が見えていない|部品・素材メーカーは学生の検索に引っかからない
部品や素材をつくるメーカーは、製品が完成品の内部に組み込まれるため、消費者の目に社名が触れる機会がほとんどありません。そのため、高い技術や大きなシェアを持っていても、学生にとっては「聞いたことのない会社」になってしまいます。
この状態がとくに不利に働くのが、ナビサイトでの企業探しです。学生は業界名や職種名、すでに知っている企業名を起点に検索するので、名前を知られていない会社はそもそも検索結果の候補に入りにくくなります。
一方で、TikTokやInstagramのおすすめ表示は、利用者が検索しなくても興味を持ちそうな動画を届ける仕組みです。
だからこそ、部品メーカーがSNSで見せるべきなのは「自社の部品が、身近などの製品の中で働いているか」です。中小企業の採用全体の打ち手は、中小企業が採用で勝つための戦略の立て方で整理しています。
仕事が見えていない|消費財メーカーは製品が有名でも働く姿が想像されない
食品や日用品、家電などの消費財メーカーは、製品の知名度があるぶん応募は集まりやすいと思われがちです。しかし実際には、志望動機が「製品が好き」で止まり、入社後の仕事まで想像できていない応募者も少なくありません。
なぜなら、メーカーの仕事は商品企画やマーケティングだけではないからです。生産ライン、品質管理、設備保全、物流など、製品のイメージからは見えにくい職種も数多くあり、配属先によっては「思っていた仕事と違う」と感じる原因になります。
そこでSNSでは、製品そのものではなく製品をつくる人の1日や、職種ごとの仕事の中身を見せることが大切です。応募の前に仕事の解像度が上がれば、職種のミスマッチを減らすことにもつながります。
職場が見えていない|地方の工場は勤務地のイメージだけで候補から外される
メーカーの工場は、郊外や地方の工業団地に置かれていることが多くあります。求職者は「毎日通えるか」「周りに何があるか」「寮や社宅はあるか」を気にしますが、実際に見たことがない場所は、漠然としたイメージだけで判断されてしまいます。
ところが、求人票に書けるのは住所や最寄り駅、通勤手段といった文字情報だけです。そのため、通勤の様子や休憩室、寮の部屋、周辺の街並みは、応募を迷っている人にほとんど伝わっていません。
これに対してSNSの動画なら、通勤路から工場の入口、休憩時間の過ごし方までを1分足らずで見せられます。とくに県外から人材を呼び込みたいメーカーにとって、職場と生活の実感を先に届けることは、候補から外されないための前提条件になります。
販促用SNSと採用用SNSの3つの違い
すでに製品の販促用にSNSを運用しているメーカーは、「SNSはやっているから、採用にもそのまま使えばいい」と考えがちです。しかし、販促と採用では、届ける相手も、成果の測り方も、運用する人も違います。
ここでは、両者の違いを次の3つの観点で整理します。
全体像は次の表のとおりです。
| 比較項目 | 販促用SNS | 採用用SNS |
|---|---|---|
| 目的 | 製品の認知・購買・問い合わせ | 会社の認知・応募・入社 |
| 届ける相手 | 消費者・取引先 | 学生・転職希望者 |
| 追う数字 | リーチ、エンゲージメント、サイト流入、売上 | プロフィール遷移、応募数、内定承諾率 |
| 投稿の主役 | 製品の機能・使い方 | 社員と仕事の中身 |
| 主な担当部門 | 広報・マーケティング部門 | 人事部門+現場の社員 |
| 投稿のトーン | ブランドの世界観をそろえる | 職場の素の雰囲気を見せる |
この違いを踏まえると、既存の公式アカウントで採用の発信を混ぜるか、採用専用のアカウントを分けるかは、次の基準で判断できます。
製品のファン層と採用したい層の年齢や関心が大きく違う場合や、投稿の承認ルートを分けたい場合は、採用専用アカウントを作るほうが運用しやすくなります。
反対に、ファン層と求職者が重なる消費財メーカーであれば、公式アカウントの中に採用のシリーズ投稿を設ける方法もあります。
届ける相手と追う数字が違う
販促用SNSが届けたい相手は、製品を買ってくれる消費者や、取引を検討している企業の担当者です。そのため、リーチ数やいいね数、サイトへの流入数、最終的には売上が成果の指標になります。
これに対して、採用用SNSの相手は学生や転職希望者です。追うべき数字も変わり、動画からプロフィールへの遷移率、採用ページへのクリック、応募数、内定承諾率といった、応募と入社に近い指標が中心になります。
ここで注意したいのは、販促と同じ感覚で再生数だけを追ってしまうことです。たとえ動画が何十万回再生されても、応募が1件も来なければ採用の施策としては機能していません。
成果の見方や、運用を見直す判断の基準は、TikTok採用で失敗しないための判断基準でも詳しく解説しています。
投稿の主役が違う
販促用SNSの主役は製品です。新製品の機能や使い方、開発の背景などを、ブランドの世界観に合わせて美しく見せることが求められます。
一方、求職者が知りたいのは「どんな人と働くのか」「入社したら何をするのか」です。つまり、採用用SNSの主役は製品ではなく、社員と仕事の中身になります。販促用に作った製品紹介の動画を採用に流用しても、応募を判断する材料にはなりにくいのはこのためです。
もちろん、製品を登場させてはいけないわけではありません。たとえば「この部品の検査を担当している入社3年目の〇〇さん」のように、製品を背景にしながら人を主語にすると、メーカーらしさと職場の雰囲気を同時に伝えられます。
運用の担い手と承認の流れが違う
販促用SNSは、多くの場合、広報やマーケティング部門が運用しています。ブランドのガイドラインに沿って投稿を作り、必要に応じて法務や品質保証部門の確認を経て公開する流れが一般的です。
それに対して、採用用SNSは人事部門が中心となり、現場の社員に出演や企画の協力をしてもらいながら運用する形になります。撮影の場所も工場や事務所の中が多くなるため、販促とは確認すべき項目そのものが変わります。
だからこそ、採用用のSNSを始めるときは、誰が企画し、誰が撮影し、誰が公開を承認するのかを先に決めておく必要があります。
とくに大手・中堅メーカーでは承認の流れが投稿の頻度を左右しやすいため、具体的な対策は後半の「機密や社内承認で投稿が止まる」で詳しく扱います。
採用目的で見たSNSの選び方|メーカーが使い分けたい5つのSNS
採用にSNSを使う場合、すべてのSNSを同時に始める必要はありません。求職者が会社を知り、比べ、応募を決めるまでの段階ごとに、向いているSNSが違うからです。
ここでは、メーカーが採用で使い分けたい5つのSNSを紹介します。
まずは、採用したい年代がどのSNSをよく使っているかを確認しておきましょう。総務省の調査による年代別の利用率は次のとおりです(※2)。
| SNS | 10代 | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| YouTube | 95.0% | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% | 72.6% |
| 69.3% | 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | 36.1% | |
| TikTok | 67.9% | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% | 21.2% |
| X | 56.4% | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% | 24.8% |
| 14.3% | 23.4% | 37.4% | 38.9% | 33.1% | 22.6% |
※2 出典:総務省「令和7年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」概要
そのうえで、採用での役割を整理すると次のようになります。最初から5つすべてを運用するのではなく、採用したい層の利用率と、担ってほしい役割から1〜2つに絞って始めるのが現実的です。
| SNS | 採用での役割 | 向いている採用 | 向いている投稿 |
|---|---|---|---|
| TikTok | 最初の接点(認知) | 新卒、20代の若手、現場職 | 社員の1日、仕事の裏側、職場の雰囲気 |
| 応募前の確認(比較) | 新卒、20〜30代 | 社員紹介、職場の写真、選考情報のまとめ | |
| YouTube | 仕事の深い理解 | 技術職、新卒の説明会参加者 | 工程の解説、社員インタビュー、会社説明 |
| X | 業界内での認知・関係づくり | 技術職、経験者 | 技術の話題、開発の裏話、イベント告知 |
| 経験者・社員紹介 | 30〜40代の経験者 | 会社のニュース、求人情報のシェア |
TikTok|社名を知らない若手との最初の接点をつくる
TikTokは10代の利用率が67.9%、20代が61.5%と、若い世代ほどよく使われているSNSです(※2)。
さらに、おすすめに表示される動画はフォロワー数ではなく、一人ひとりの視聴の傾向をもとに選ばれるため、開設したばかりの企業アカウントでも、興味を持ちそうな人に動画が届く可能性があります(※3)。
この仕組みは、先に触れた「社名が見えていない」部品・素材メーカーにとってとくに有効です。
学生が社名を検索しなくても、仕事の様子を映した動画をきっかけに会社を知ってもらえるからです。実際に、弊社の調査では就活生の約65%が企業のTikTok動画を見たことがあり、最大80%がその企業に興味を持ったという結果が出ています(※4)。
ただし、TikTokで認知を得ても、それだけで応募が決まるわけではありません。プロフィールから採用ページやInstagramへ移動してもらい、次の段階につなげる導線までを設計しておくことが大切です。
年代ごとの利用状況は、TikTokの年齢層と採用での活かし方で詳しくまとめています。
※3 出典:TikTok Newsroom「TikTokが動画をおすすめする仕組み」
※4 出典:株式会社ADDICT ONE「採用特化型TikTok運用代行サービス『Recruit ONE』提供開始」(PR TIMES)
Instagram|応募前に職場の雰囲気を確かめてもらう
Instagramは20代の利用率が82.6%、30代が76.6%と、新卒から若手の転職希望者まで幅広く使われています(※2)。
また、TikTokが「偶然の出会い」の場だとすれば、Instagramは気になった会社のアカウントを訪れて、どんな会社かを確かめる場として機能します。
というのも、Instagramのプロフィール画面には過去の投稿が一覧で並ぶため、アカウントそのものが会社案内のような役割を果たすからです。社員紹介、職場の写真、福利厚生などを投稿しておけば、応募を迷っている人がまとめて確認できます。
さらに、ストーリーズのハイライト機能を使うと、選考の流れや説明会の日程、よくある質問などをプロフィールに固定表示できます。TikTokで興味を持った人が、Instagramで不安を解消してから応募する、という流れをつくれるのが強みです。
YouTube|仕事の中身を時間をかけて理解してもらう
YouTubeは10代から50代まで、どの年代でも利用率が8割を超えています(※2)。そのうえ、短い動画が中心のTikTokやInstagramと違って、数分から数十分の動画で、仕事の流れや技術の中身をじっくり伝えられるのが特徴です。
とくに相性がよいのは、技術職や研究開発職のように、仕事の内容を説明するのに時間がかかる職種です。製品ができるまでの工程の解説や、開発者へのインタビュー、会社説明会の録画などは、応募を真剣に検討している人ほど最後まで見てくれます。
また、YouTubeの動画は検索結果にも表示されるため、一度作った動画が長く見られ続ける資産になります。TikTokやInstagramで興味を持った人に、より詳しい情報を届ける受け皿として、YouTubeを組み合わせると効果的です。
X|業界内での認知と技術者とのつながりをつくる
Xは20代の利用率が73.4%、30代が67.7%と、若い世代を中心によく使われています(※2)。動画よりも文章での発信が中心で、技術の話題や業界のニュースに対する見解を、リアルタイムで発信できる点が他のSNSとの違いです。
そのため、Xは直接応募を集めるというよりも、業界内での認知や、技術者とのつながりをつくる場として役立ちます。たとえば、開発の裏話や展示会の様子、社員が手がけた技術の紹介を続けていくと、同じ分野に関心を持つ技術者や学生が会社を覚えてくれます。
ただし、Xは投稿が流れていくスピードが速く、1つの投稿の内容が長く残りにくい面もあります。だからこそ、キャラクターやシリーズ企画で「いつもの発信」を定着させる工夫が欠かせません。後述するナブテスコ株式会社の事例は、その代表的な成功例です。
Facebook|経験者の採用と社員の紹介につなげる
Facebookの利用率は全体では他のSNSより低いものの、30代が37.4%、40代が38.9%と、30〜40代の利用率が10〜20代を上回っているのが特徴です(※2)。そのため、新卒よりも、経験を積んだ中途人材の採用で活用しやすいSNSといえます。
また、Facebookは実名での登録が基本で、仕事の関係者や知人同士でつながっていることが多いSNSです。そこで、会社の求人情報を社員が自分のアカウントでシェアすると、社員の知人や元同僚といった、信頼関係のある相手に情報が届きます。
この性質は、社員の紹介で人材を採用するリファラル採用と相性がよいものです。会社のニュースや受賞、新工場の稼働といった話題も、社員がシェアしやすい投稿として発信しておくと、経験者の目に触れる機会が増えます。
職種別に見るメーカーのSNS採用の発信例
メーカーは、同じ会社の中に生産現場から研究開発、営業まで性格の違う職種を抱えています。そのため、採用したい職種によって、求職者が知りたいことも、見せるべき内容も変わります。
ここでは、メーカーの代表的な3つの職種ごとに、発信の考え方と企画の例を紹介します。
なお、1つのアカウントで複数の職種を採用する場合は、投稿ごとにどの職種に向けた内容かを決めておくと、発信の軸がぶれにくくなります。
生産・製造職|段取りと手順の「上達」を見せる
生産・製造職は、未経験から応募する人が多い職種です。だからこそ、求職者がいちばん気にしているのは「仕事の内容」よりも、「自分にもできるようになるのか」という不安です。
この不安に応えるには、完成された熟練の作業だけを見せるのではなく、できるようになるまでの過程を見せることが効果的です。たとえば、次のような企画が考えられます。
- 入社1年目と5年目の社員が、同じ作業を並んで行う比較動画
- 新人研修で最初に覚える作業を、先輩が手元のアップで教える動画
- 資格を取得した社員が、勉強の仕方や合格までの期間を話す動画
ただし、工場の中で撮影する場合は、映してよい工程や設備の範囲を事前に決めておく必要があります。現場で撮影するときのルールや工程の選び方は、製造業のSNS採用の始め方と撮影の進め方で詳しく解説しています。
技術・開発職|製品が形になるまでの工程を見せる
技術・開発職を目指す理系の学生や技術者は、「どんな技術に触れられるのか」「自分の専門が活かせるのか」を重視して会社を選びます。そのため、完成した製品ではなく、試作から評価、量産に至るまでの工程を見せることが響きます。
とくに、技術職の仕事は外から見えにくく、説明にも時間がかかります。そこで、TikTokやInstagramの短い動画で興味を持ってもらい、YouTubeの長い動画で仕事の中身を詳しく伝える、という組み合わせが有効です。企画の例は次のとおりです。
- 開発者が、自分の担当した部品の「ここが難しかった」を話す動画
- 試作品が何度も作り直されて完成するまでを追った動画
- 若手技術者が、大学の研究と今の仕事のつながりを話す動画
また、開発の失敗談や苦労話は、技術者にとってリアルな判断材料になります。採用動画の構成や撮り方は、制作実績をもとにした採用動画の作り方でもまとめています。
営業・事務系職|製品を通じて誰の役に立っているかを見せる
メーカーの営業職は、取引先の企業を担当する法人営業や、技術的な提案を行う技術営業が中心です。そのため、求職者には「何を、誰に売っているのか」が想像しにくく、仕事のやりがいが伝わりにくい職種でもあります。
そこで発信したいのは、自社の製品が顧客の現場でどのように使われ、どんな課題を解決しているかです。取引先の許可が得られる範囲で、製品が活躍する様子や、担当者が感謝された経験などを紹介すると、営業の仕事の意味が具体的に伝わります。
一方、生産管理や購買、品質保証などの事務系職は、工場と本社、取引先をつなぐ「調整役」としての役割を見せるのが効果的です。たとえば、1日のスケジュールや、部署をまたいで連携する場面を紹介すると、デスクワークの中身がイメージしやすくなります。
メーカーのSNS採用でつまずきやすい3つの壁と対策
採用用のSNSは、始めることよりも続けることのほうが難しい施策です。とくにメーカーでは、社内の承認、出演者の確保、効果の測り方の3つが、運用を止める原因になりやすい傾向があります。
ここでは、つまずきやすい3つの壁と、その対策を紹介します。
いずれも、運用を始める前にルールを決めておくだけで防ぎやすくなるものです。自社がどの壁にぶつかりそうかを想定しながら読み進めてください。
機密や社内承認で投稿が止まる
メーカーの工場や開発の現場には、図面や試作品、取引先の名前など、外部に出せない情報が数多くあります。そのため、撮影した動画を1本ずつ広報や法務、現場の責任者が確認する体制になりやすく、確認待ちのあいだに投稿が止まってしまうケースが少なくありません。
この壁を越えるには、確認の手間そのものを減らす仕組みが必要です。
具体的には、運用を始める前に広報・法務・現場の三者で、撮影してよいエリアと撮影してはいけないエリア、映り込みに注意すべきもの(図面、ホワイトボード、モニター画面、取引先の製品など)をリストにして合意しておきます。
そのうえで、合意した範囲内の動画は人事部門の確認だけで公開できるルールにすると、投稿のスピードが大きく変わります。範囲外の企画だけを個別に確認する形にすれば、情報管理と発信の頻度を両立できます。
出演者と投稿ネタが続かない
運用を始めたばかりの頃は、協力的な若手社員が出演してくれることが多いものです。しかし、特定の社員に出演が集中すると、本人の負担が大きくなり、異動や退職をきっかけに発信が止まるおそれがあります。
そこで、顔出しをしなくても成り立つ企画を用意しておくことが大切です。たとえば、作業中の手元だけを映す動画や、声だけで職場を案内する動画であれば、顔を出したくない社員にも協力してもらいやすくなります。
また、若手でなければならないわけでもなく、後述する三陽工業株式会社のように、ベテラン社員の出演が話題になった例もあります。
投稿ネタについては、職種とテーマを掛け合わせた一覧を作っておくと枯渇しにくくなります。たとえば、職種(生産・技術・営業)と、テーマ(1日の流れ、仕事道具、失敗談、休日の過ごし方)を掛け合わせるだけで、十数本分の企画をすぐに洗い出せます。
応募につながったかが分からない
採用用のSNSでとくに多い悩みが、再生数は伸びているのに、実際の応募にどれだけつながったのかが分からないというものです。成果が見えなければ社内で予算や人手を確保し続けることも難しくなるため、応募までの経路を測る仕組みを最初に整えておく必要があります。
具体的な方法としては、応募フォームに「当社を知ったきっかけ」を選ぶ設問を入れる、プロフィールに貼る採用ページのリンクに計測用のパラメータを付ける、面接で「見た動画」を質問する、といったものがあります。
これらを組み合わせると、どのSNSのどの投稿が応募につながったかを把握しやすくなります。
また、見るべき数字は応募数だけではありません。再生数、プロフィールへの遷移、リンクのクリック、応募という段階ごとに数字を並べると、どこで離脱しているかが分かり、改善すべき点が見えてきます。
SNS採用そのものの注意点は、SNS採用で起こりやすい失敗とその防ぎ方で整理しています。
メーカーのSNS採用事例
実際にSNSを採用や企業の発信に活かしているメーカーの事例を見ると、自社で取り入れられる工夫が具体的に見えてきます。ここでは、使っているSNSも発信のスタイルも異なる3社を紹介します。
なお、メーカー以外も含めた業種横断の事例は、業種を問わないSNS採用の成功例と共通点で紹介しています。
三陽工業株式会社|TikTokで内定者8人中3人がTikTok経由
三陽工業株式会社は、2021年2月にTikTokの公式アカウントを開設し、40〜70代の男性社員が出演する動画を投稿しています(※5)。
若手社員ではなく中高年の社員が一生懸命に動画に取り組む姿が話題となり、2021年12月時点でフォロワーは5万4千人に達しました(※5)。その後、フォロワーは6万人を超えています(※6)。
注目したいのは、この取り組みが新卒採用の成果にもつながった点です。2022年の新卒採用では、説明会の参加者の7割が同社のTikTokを見たことがあり、内定者8人のうち3人がTikTok経由で応募していました(※5)。
この事例は、若手の出演者がいなくても、社員の人柄や職場の雰囲気が伝わる発信であれば、学生に届くことを示しています。人員構成が中高年に偏りがちなメーカーにとって、参考にしやすい事例といえます。
※5 出典:ニュースイッチ(日刊工業新聞)「おじさんTikTok」の三陽工業に関する記事(2021年12月29日)
※6 出典:@Press「フォロワー数6万人越えの『おじさんTikTok』の三陽工業 会社理解を目的とした『TikTok研修』を新卒採用にて実施」
ナブテスコ株式会社|Xのキャラクターで技術紹介から採用情報まで発信
ナブテスコ株式会社は、「モンスターズ」と呼ばれるオリジナルキャラクターを使ってXの公式アカウントを運用し、1.2万人のフォロワーを獲得しています。
キャラクターが船舶や工場での製品紹介、季節の話題、社内のイベントなどを親しみやすい言葉で発信しているのが特徴です。
また、「#見つけたナブテスコ」というハッシュタグで、身の回りにある自社製品を紹介する投稿も続けています。
産業機械メーカーの製品は一般の人の目に触れにくいものですが、キャラクターを通じて発信することで、堅い印象を和らげながら技術や製品を伝えている点が参考になります。
さらに、同社のアカウントでは製品や技術の紹介にとどまらず、採用に関する情報まで幅広く発信しています。採用の成果を示す数値は公表されていませんが、社名や製品が知られにくいBtoBのメーカーが、まず「覚えてもらう」ための発信として参考になる事例です。
株式会社クラレ|YouTubeで社員と事業所の仕事を紹介
株式会社クラレは、YouTubeの公式チャンネルで企業CMシリーズ「きっと明日も、ハレ、クラレ。」や製品紹介の動画を配信し、最大で600万回以上の再生を記録しています。
とくに「広報担当クラレちゃん」のシリーズでは、自社製品を15秒や30秒の短い動画で分かりやすく紹介しています。
採用の観点で注目したいのは、CMや製品紹介に加えて、従業員が働く様子や各事業所を紹介する動画も公開している点です。15秒の短い動画から10分近い動画まで、目的に応じて長さを使い分けており、素材メーカーの仕事を知りたい人が詳しく調べられる受け皿になっています。
採用の成果を示す数値は公表されていませんが、YouTubeの長い動画で事業所や社員の仕事を伝える方法は、技術職や総合職の採用を考えるメーカーにとって取り入れやすいものです。
とくに、TikTokやInstagramで興味を持った人を、詳しい情報へ誘導する先として活用できます。
メーカーのSNS採用は「ADDICT ONE」にご相談ください
株式会社ADDICT ONEは、採用に特化したTikTok運用代行サービス「Recruit ONE」を提供しています。これまでに累計100社以上のアカウントを運用し、7,000本以上の動画を制作しており、総再生数は3.5億回を超えています(※7)。
弊社が支援してきたのは、生産・現場職のように、仕事の中身が外から見えにくい職種の採用です。たとえば、弊社が支援した消防設備業の企業では、運用開始から6か月で8名の採用につながりました。
また、警備業の企業では、運用1か月目から12件の応募を獲得しています。
メーカーのSNS採用でも、本記事で紹介したように「見えていない社名・仕事・職場」をどう見せるかが成果を左右します。弊社では、採用したい職種やターゲットに合わせた企画の設計から、撮影・編集・投稿・分析までをワンストップで代行しています。
費用は、初期費用10万円(税抜)、月額20万円(税抜)から、6か月の契約が基本です。一般的な費用の相場は、運用代行の月額の内訳と適正価格の考え方で詳しく解説しています。まずはサービス資料で、支援の範囲と費用感をご確認ください。
※7 出典:株式会社ADDICT ONE「採用特化型TikTok運用代行サービス『Recruit ONE』提供開始」(PR TIMES)
メーカーのSNS採用でよくある質問
最後に、メーカーの採用担当者からよくいただく質問をまとめました。
運用を始める前にこれらの疑問を解消しておくと、社内での合意も取りやすくなります。
求人媒体やナビサイトとは併用したほうがよいですか?
はい、少なくとも運用を始めて間もない時期は、求人媒体やナビサイトと併用することをおすすめします。SNSのアカウントが育つまでには一定の期間がかかるため、いきなり媒体をやめると、その間の応募が途絶えるおそれがあるからです。
現実的なのは、SNSを媒体の「手前」にある認知の場として位置づける方法です。
求職者がナビサイトで自社を見つけたときに、すでにSNSで社名や職場の様子を見たことがあれば、エントリーにつながりやすくなります。SNS経由の応募が増えてきた段階で、媒体の費用を見直していきましょう。
社員が顔出しを嫌がる場合でもSNS採用はできますか?
できます。作業中の手元だけを映す動画、後ろ姿や声だけで職場を案内する動画、イラストや文字を中心にした投稿など、顔を出さなくても職場の雰囲気や仕事の中身は伝えられます。
ただし、顔出しをする社員がいる場合も、しない場合も、出演は本人の同意を得たうえで任意とすることが前提です。同意は書面で取得し、退職や異動の際に動画をどう扱うかも、あらかじめ決めておくとトラブルを防げます。
採用アカウントは何人で運用すればよいですか?
最低限必要なのは、企画と撮影・編集を担う担当者、公開を承認する責任者、そして出演や撮影に協力してくれる現場の社員です。担当者を1人に固定すると、その人の異動や繁忙期に運用が止まりやすいため、企画と撮影・編集を2人で分担できると安定します。
一方で、人事部門だけで企画から編集までを継続するのは負担が大きく、本業の採用業務と両立できないケースも少なくありません。社内のリソースが足りない場合は、企画や編集を外部に任せ、社内は出演と承認に集中する形も検討するとよいでしょう。
成果が出るまでどれくらいかかりますか?
中途採用やアルバイト採用であれば、応募という形での反応は、早ければ運用開始から1〜3か月で出ることがあります。実際に、弊社が支援した警備業の企業では、運用1か月目から12件の応募がありました。
一方、新卒採用で「入社」まで結びつけるには、就活のスケジュールが一巡する1年程度を見込んでおく必要があります。新卒採用での時期ごとの発信の考え方は、就活スケジュールに合わせたTikTokの新卒採用の進め方で解説しています。
まとめ|まずは採用で見せたい「人と仕事」を一つ決めよう
メーカーの採用が苦戦する背景には、製品の知名度とは別に、求職者から社名・仕事・職場が見えていないという問題があります。SNSは、この見えていない部分を直接届けられる手段です。
ただし、販促用のSNSと採用用のSNSは、届ける相手も、追う数字も、運用する人も違います。
そのうえで、TikTokで最初の接点をつくり、Instagramで職場を確かめてもらい、YouTubeで仕事を深く伝えるといったように、採用の段階に合わせてSNSを選ぶことが大切です。
さらに、生産・技術・営業といった職種ごとに見せる内容を変えると、求職者は入社後の自分を具体的に想像できるようになります。まずは、自社が採用で見せたい「人と仕事」を一つ決めて、最初の1本を投稿するところから始めてみてください。
自社だけで企画や継続的な運用を回すのが難しい場合は、採用に特化したTikTok運用代行「ADDICT ONE」の無料相談へ、以下よりお申し込みください。


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