「求人媒体に掲載しても、欲しい経験者から応募が来ない」「人材紹介の手数料がかさみ、採用コストが膨らんでいる」。中途採用で、こうした悩みを抱えていませんか。
実は、転職を考えている人の多くは、まだ求人媒体の中にいません。転職を希望する就業者は1,023万人いる一方、実際に転職した人は330万人にとどまっており(総務省「労働力調査」2025年平均)、転職を考え始めたばかりの在職者は、求人を探す前にSNSで企業の様子を見ています。
この記事では、採用特化のTikTok運用代行を手がける株式会社ADDICT ONE(アディクトワン)が、中途採用にSNSが効く理由をデータで確かめたうえで、採用したい年代・職種に合うSNSの選び方と、職種別の発信例を紹介します。応募につなげる導線や、失敗しやすいパターンもあわせて解説します。
経験者の母集団づくりにお困りの企業様は、ADDICT ONEの無料相談もお気軽にご利用ください。
中途採用でSNSが使われ始めている背景|データで見る転職者と企業の動き
中途採用でSNSが使われ始めているのは、転職する側の情報の集め方と、採用する側の手法が、どちらも変わってきているからです。ここでは、公的統計と調査データから、その動きを3つの角度で確認します。
あわせて、中途採用では採用コストの重さも課題です。マイナビの調査では、中途採用にかかる年間の採用費用は1社あたり平均609.9万円(2025年実績)でした。前年から40.7万円減ったものの、依然として600万円を超える水準です(出典:マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」)。
その点、掲載期間が終われば消える求人広告と違い、SNSに投稿した動画はアカウントに残り続けます。そのため、発信を続けるほど採用の資産が積み上がるのもSNSの特徴です。なお、SNS採用の仕組みやメリット・デメリットの全体像は、SNSを採用に使う基本と始め方をまとめた記事で解説しています。
転職を希望する就業者は1,023万人、実際に転職した人の約3倍
総務省の労働力調査によると、2025年平均で転職等を希望している就業者は1,023万人にのぼります。一方で、同じ年に実際に転職した人は330万人で、希望者はその約3倍にあたります(出典:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年平均結果」)。
この差が示すのは、中途採用の母集団が、求人媒体や転職サイトに登録している人だけではないということです。転職を考えてはいるものの、まだ具体的に動いていない在職者が、その外側に大勢います。
つまり、求人を出して待つだけでは、転職を考え始めたばかりの層には情報が届きにくいのです。とはいえ、こうした層も求人媒体は開かなくても、ふだんからSNSは見ています。そのため、日頃の発信で仕事内容や職場の様子を知ってもらえれば、本人が動き出したときに最初に思い出してもらえる会社になれます。
転職経験者の81%が、SNSの情報で志望度を変えている
転職を考える人にとって、SNSは企業を見極める情報源になっています。Thinkings株式会社が転職経験のある社会人200名に行った調査では、81%が「SNSで得た情報によって志望度が変化した」と回答しました。
また、SNSを最も活用する場面として、「求人情報を探すとき」を挙げた人が34%と最も多くなっています(出典:Thinkings株式会社「就職活動・転職活動におけるSNS利用実態調査」2024年12月〜2025年1月実施、2025年7月9日公表)。
さらに、SNS採用支援を行うリソースクリエイションの調査でも、20代の中途求職者573名のうち約8割が企業のSNSで企業情報を調べたと答えています。調べたSNSはInstagramが65.1%、TikTokが50.8%でした(出典:株式会社リソースクリエイション「転職活動におけるSNS利用の実態調査」2025年2月公表)。
これらのデータから分かるのは、転職者が求人票の条件だけでなく、SNSで見える職場の実態を応募の判断材料にしているということです。したがって、SNSでの発信がない、あるいは更新が止まっている企業は、比較の段階で候補から外れてしまうおそれがあります。
中途採用にSNSを取り入れる企業は29.8%、予定を含めると47.1%
採用する企業の側でも、SNSの活用は広がりつつあります。マンパワーグループが企業の人事担当者400名に行った調査では、中途採用にSNSを取り入れている企業は29.8%でした。
さらに、今後取り入れる予定の企業を含めると、47.1%と半数近くに達しています(出典:マンパワーグループ「約3割が新卒・中途の採用活動にSNSを取り入れている今、人事担当者がSNS利用で感じるメリット・デメリットとは?」2024年2月調査・2024年8月公開)。
新卒採用でSNSを取り入れている企業は34.5%で、中途採用との差は5ポイントほどです(同調査)。このことから、SNSは新卒の母集団づくりだけの手段ではなくなっていると言えます。
とはいえ、裏を返せば、中途採用でSNSを使っている企業はまだ3割程度にとどまっています。そのため、いま発信を始めれば、同じ職種・同じ地域の競合より先に転職者の目に触れられる可能性があります。とくに、SNSで仕事内容を発信している企業が少ない業種ほど、始めた企業が目立ちやすくなります。
中途採用のSNS活用で押さえたい3つの前提|新卒向けの発信との違い
中途採用でSNSを使うときは、新卒採用と同じ発信をしても経験者には届きません。なぜなら、届ける相手・伝える情報・応募のきっかけが、新卒と中途では異なるからです。
この3つの違いを押さえておくと、後で紹介するSNSの選び方や職種別の発信例を、自社の募集に当てはめやすくなります。なお、学生向けの発信の考え方は、新卒採用でのSNSの使い方をまとめた記事で解説しています。
届ける相手:就活中の学生ではなく、転職を考え始める前の在職者
新卒採用では、就職活動の時期に合わせて、情報を探している学生に発信を届けます。一方で中途採用は、相手がいつ転職を考え始めるかを企業側が決められません。そのため、募集のタイミングだけ発信するのではなく、ふだんから発信を続けておく必要があります。
また、中途採用で届けたい相手は、多くの場合いまも別の会社で働いている人です。仕事の合間にSNSを見て、「今の職場と比べてどうか」を考えながら情報を受け取っています。
したがって、中途採用の発信では、自社の募集要項を伝えるより先に、今の職場で感じている不満を解消できる会社だと伝わることが大切です。学生のように「どんな会社があるか」を広く探している相手ではないため、比べられる前提で、自社ならではの働き方を見せましょう。
伝える情報:会社の雰囲気だけでなく、仕事内容と評価の具体
転職者が企業選びで重視するのは、求人票に書かれる条件だけではありません。前述のリソースクリエイションの調査では、20代の中途求職者が会社選びで重視する点として、「働いている人/社風」が87.6%で最も多く、「仕事のやりがい」が75.6%で続いています(出典:株式会社リソースクリエイション「転職活動におけるSNS利用の実態調査」)。
ただし、中途の転職者は社会人経験があるぶん、雰囲気の良さだけでは判断しません。仕事の裁量、チームの体制、評価のされ方、入社後のキャリアといった、働き始めてからの具体を知りたいと考えています。そのため、新卒向けのような明るさや勢いを重視した企画とは、切り口を変える必要があります。
たとえば「中途入社1年目の1日」「転職して変わったこと」「配属チームの紹介」といった企画は、経験者の関心に直接こたえられます。このように、一緒に働く人の顔が見えて、仕事の中身まで分かる発信が、中途採用では応募の判断材料になります。
応募のきっかけ:エントリーではなく、「まず話を聞ける場」があるか
新卒採用では、説明会への参加やエントリーが、学生にとって自然な最初の一歩です。しかし在職中の転職者にとって、「応募する」は重い一歩になります。今の仕事を続けながら選考を受けるには時間の調整が必要で、まだ転職を決めきれていない人も多いからです。
そのため、中途採用では応募の前に「まず話を聞いてみる」段階を用意できるかが、母集団の広さを左右します。SNSの発信は、この「話を聞いてみたい」という気持ちをつくる役割を担います。
逆に、SNSで興味を持ってもらえても、入口が応募フォームだけでは、転職潜在層の多くはそこで止まってしまいます。つまり、中途採用のSNSは発信と、気軽に接点を持てる入口をセットで考えることが前提です。具体的な入口の整え方は、後半の「応募につなげる3つの導線」で紹介します。
中途採用で使えるSNS活用の4つの形|自社発信・社員発信・スカウト・広告を比較
中途採用でのSNSの使い方は、自社アカウントでの発信だけではありません。どの手段で転職者との接点をつくるかによって、大きく4つの形に分けられます。
| 形 | 主な中身 | 向いている中途採用 | 手間と費用 |
|---|---|---|---|
| 自社アカウントでの発信 | 会社の公式アカウントで、仕事内容・職場の様子・社員紹介を継続的に投稿する | 母集団を中長期で広げたい採用、現場職など仕事内容が伝わりにくい職種 | 企画・撮影・編集の手間が継続的にかかる。広告費は不要 |
| 社員による発信・リファラル | 社員が個人のSNSで仕事や会社のことを発信し、知人や同業者に届ける | 同業の経験者や専門職の採用、社員の紹介で採用したい場合 | 費用は小さいが、社員の協力と発信ルールの整備が必要 |
| SNS上のスカウト | SNS上で条件に合う人を探し、企業から直接メッセージを送る | 専門職や管理職など、対象者が限られるポジションの採用 | 広告費はかからないが、候補者探しと連絡に担当者の工数がかかる |
| SNS広告 | 年代・地域・関心などで配信先を絞り、求人や採用動画を広告として届ける | 急ぎの欠員補充、短期間で応募を集めたいポジションの採用 | 広告費がかかり、配信をやめると接点も止まる |
表のとおり、4つの形は接点をつくる手段と、効果が出るまでの時間が異なります。急ぎの欠員にはスカウトや広告、中長期の母集団づくりには自社アカウントでの発信、というように、目的に応じて組み合わせるのが現実的です。
この記事では、このうち中途採用の母集団づくりの土台になる「自社アカウントでの発信」を中心に、SNSの選び方と発信例を紹介していきます。
それぞれの手法の特徴は、SNSを使った採用手法を比較した記事で、企業から候補者に声をかける採用の進め方は、スカウト型の採用の仕組みと始め方をまとめた記事で、それぞれ詳しく解説しています。
中途採用に向くSNSの選び方|採用したい年代と職種で決める
中途採用で使うSNSは、話題のSNSから選ぶのではなく、採用したい経験者の年代と職種から逆算して選ぶのが基本です。SNSごとに使っている年代と、相性の良い職種が異なるからです。
SNSを選ぶ前に、まず届けたい経験者像を具体的に決めておきましょう。たとえば「営業経験3年・20代後半・成長できる環境を求めている人」のように、経験・年代・転職で解消したい不満まで言葉にすると、選ぶべきSNSと発信する内容がぶれにくくなります。
そのうえで、総務省の最新調査から、中途採用の中心になる20〜50代のSNS利用率を見ると、次のとおりです。
| SNS | 20代 | 30代 | 40代 | 50代 |
|---|---|---|---|---|
| YouTube | 96.3% | 94.0% | 91.6% | 84.9% |
| 82.6% | 76.6% | 67.1% | 54.4% | |
| X(旧Twitter) | 73.4% | 67.7% | 57.0% | 40.2% |
| TikTok | 61.5% | 44.7% | 42.6% | 32.2% |
| 23.4% | 37.4% | 38.9% | 33.1% |
出典:総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
表のとおり、YouTube・Instagramは20〜30代で7割を超え、Facebookだけは20代より30〜40代で利用率が高いという特徴があります。
なお、LINEは各年代で9割を超えますが、不特定多数への発信より応募後の連絡に向くため、ここでは選び方の対象から外しています。
TikTokの年代別の利用状況は、TikTokの年齢層を最新データで解説した記事でも詳しく紹介しています。
TikTok|20〜30代の現場職
TikTokは、20代の61.5%、30代の44.7%が利用している短尺動画のSNSです(出典:総務省 令和7年度調査)。15秒〜1分ほどの動画で、作業の様子や職場の空気をそのまま見せられるため、文章では伝わりにくい現場職の採用と相性が良いと言えます。
また、TikTokのおすすめ表示は、いいねやコメントなどの反応や、キャプション・サウンドといった動画の情報をもとに決まり、フォロワー数そのものはレコメンドに直接影響しないとされています(出典:TikTok Newsroom「TikTokが「おすすめ」に動画をレコメンドする仕組み」2020年6月19日)。そのため、フォロワーが少ない立ち上げ期でも、動画しだいで転職潜在層に届く可能性がある点も、これから始める企業にとっての利点です。
一方で、利用者の中心は若い年代のため、40代以上の管理職を採用したい場合は、他のSNSと組み合わせて考えましょう。TikTokに絞った中途採用の進め方は、TikTokで中途採用を強化する方法をまとめた記事で解説しています。
Instagram|20〜40代の接客・美容・サービス職
Instagramは、20代の82.6%、30代の76.6%、40代の67.1%が利用しているSNSです(出典:総務省 令和7年度調査)。マンパワーグループの調査でも、中途採用で取り入れられているSNSの中で、Instagramが47.9%と最も多いという結果が出ています(出典:マンパワーグループ、2024年2月実施)。
Instagramは写真・リール動画・ストーリーズを使い分けられるため、店舗の雰囲気やスタッフ同士の関係を見せたい接客・美容・サービス職に向いています。たとえば、施術や接客の様子をリールで、スタッフの1日をストーリーズで発信するといった使い分けができます。
さらに、20〜40代まで幅広く使われているため、若手だけでなく、子育てが一段落して復職を考える経験者にも届けやすいと言えます。したがって、年代の幅を持たせて経験者を集めたい場合に、まず候補に入れたいSNSです。
X|20〜30代のエンジニア・クリエイター職
X(旧Twitter)は、20代の73.4%、30代の67.7%が利用しているSNSです(出典:総務省 令和7年度調査)。文章での発信が中心で、投稿が引用やリポストで広がりやすい点に特徴があります。
とくにエンジニアやデザイナー、編集者などの職種では、技術や制作の知見をXで発信する文化があるため、社員の発信がそのまま同業の経験者に届くことがあります。そのため、会社の公式アカウントだけでなく、社員個人の発信を組み合わせると効果を出しやすいSNSです。
ただし、Xは短い文章が切り取られて広まりやすいぶん、表現には注意が必要です。社員が発信する場合は、業務上の情報をどこまで出してよいかのルールを先に決めておくと、トラブルを防げます。
Facebook|30〜50代の管理職・法人営業職
Facebookは、20代の23.4%に対し、30代は37.4%、40代は38.9%と、ほかのSNSとは逆に30〜40代の利用率が20代を上回ります(出典:総務省 令和7年度調査)。実名での登録が基本のため、仕事上のつながりで使われることが多いSNSです。
そのため、30〜50代の管理職候補や、法人営業の経験者を採用したい場合に向いています。会社の取り組みや事業の方向性を、経営者や管理職の言葉で発信すると、キャリアを重視する層の関心を集めやすくなります。
また、ビジネス向けのSNSとしてはLinkedInもあり、日本国内の利用者は約620万人で、25〜34歳が約45%を占めると推計されています(出典:NapoleonCat「LinkedIn users in Japan」2026年9月、広告配信の対象ユーザー数による推計)。
外資系企業や英語を使う職種の採用であれば、Facebookとあわせて検討するとよいでしょう。
YouTube|幅広い年代の技術職・専門職
YouTubeは、20〜40代で9割以上、50代でも84.9%が利用しているSNSです(出典:総務省 令和7年度調査)。年代を問わず届けやすいうえ、数分から十数分の長い動画も見てもらいやすい点が、ほかのSNSとの違いです。
この特徴から、仕事の流れや技術の中身を、時間をかけて説明したい技術職・専門職の採用に向いています。たとえば、設備の点検や設計の仕事を、1件の案件に沿って最初から最後まで見せる動画は、同業の経験者が「自分の経験を活かせるか」を判断する材料になります。
さらに、YouTubeには短尺動画のショートもあるため、長い動画の一部を切り出して発信すれば、TikTokやInstagramと同じように新しい視聴者との接点もつくれます。このように、長尺で深く伝え、短尺で広く届けるという使い分けができるSNSです。
職種別に見る中途採用のSNS発信例|経験者が応募前に知りたいこと
中途採用の発信で成果が出るかどうかは、その職種の経験者が、応募の前に何を知りたいかにこたえられるかで決まります。ここでは、職種ごとの発信の切り口と企画例を、弊社が支援した企業の実績とあわせて紹介します。
どの職種でも共通して効果的なのが、中途入社した社員に、自分の体験を語ってもらう動画です。同じように転職を経験した社員の言葉は、転職を検討している人にとって最も身近な判断材料になります。
社員インタビュー動画の質問の組み立て方や撮り方は、採用インタビュー動画の作り方をまとめた記事で解説しています。
現場職(施工・警備・設備点検・ドライバー)|1日の流れと資格・手当を見せる
現場職の経験者が知りたいのは、1日の仕事の流れ、体力的な負担、資格の取得支援や手当といった、働き方の具体です。求人票の「未経験歓迎」「資格手当あり」だけでは、実際の現場の様子が伝わらないため、動画で見せる価値が大きい職種と言えます。
企画例としては、「朝礼から帰社までの1日」「先輩が取った資格と手当の額」「現場で使う道具の紹介」などがあります。たとえば、弊社が支援した警備業の企業では、運用1か月目から12件の応募があり、1本の動画だけで28件の応募につながった実績があります。
また、弊社が支援した消防設備業の企業では、運用開始から6か月で8名を採用し、採用コストは実質0円でした。建設業の企業では採用単価が70万円台から10万円台まで下がり、引越業の企業では運用初月から6件の応募が集まっています。
現場の様子を伝える採用動画の作り方は、TikTok採用動画の成功パターンをまとめた記事でも紹介しています。
営業職(法人営業・個人営業)|扱う商材・顧客・評価のされ方を見せる
営業職の経験者が転職先を比べるときに知りたいのは、扱う商材、顧客の種類、目標の決まり方と評価のされ方です。同じ「営業」でも、新規開拓か既存顧客の対応か、個人のノルマかチームの目標かで、働き方は大きく変わるからです。
企画例としては、「1日の商談スケジュール」「入社1年目の中途社員が担当している顧客」「評価面談で何を見られるか」などがあります。とくに、前職と比べて何が変わったかを中途入社の社員が話す動画は、同じ職種の経験者が自分に置き換えて考えやすい企画です。
一方で、具体的な数字や顧客名は出しすぎると情報管理の問題になるため、出せる範囲を事前に社内で決めておくことが欠かせません。そのうえで、インセンティブの仕組みや目標の立て方など、制度として公開できる情報を中心に発信しましょう。
技術職・専門職(エンジニア・設計・整備士)|技術と担当案件の具体を見せる
技術職・専門職の経験者は、自分の技術や経験がその会社で活かせるか、さらに伸ばせるかを重視します。そのため、扱っている技術や設備、担当する案件の規模や流れを、できるだけ具体的に見せることが大切です。
企画例としては、「使っている機材や開発環境の紹介」「1つの案件が完成するまでの流れ」「若手が任されている仕事の範囲」などがあります。こうした技術や仕事へのこだわりが伝わる動画は、同業の経験者に会社の技術水準を伝える名刺代わりになります。
また、BtoBの企業や知名度の低い業種でも、専門的な仕事は業界の外の人にとって新鮮な内容です。「何をつくっているか」「どんな技術か」を専門用語に頼らずに説明すれば、同業の経験者への訴求と、異業種からの転職者への興味づけを両立できます。地味に見える仕事ほど、発信している競合が少ないため、先に始めた企業が目立ちやすくなります。
接客・サービス職(美容師・飲食店スタッフ・ホテルスタッフ)|一緒に働く人とシフトの実態を見せる
接客・サービス職の経験者が気にするのは、一緒に働くスタッフとの関係、シフトや休みの取りやすさ、指名や売上の評価のされ方です。経験者ほど前の職場の人間関係や働き方に課題を感じて転職を考えていることが多いため、こうした実態を見せることが応募の後押しになります。
企画例としては、「スタッフ同士の休憩時間の様子」「シフトの決め方と休みの取り方」「入社3か月の中途スタッフの1日」などがあります。実際に、弊社が支援した美容業の企業では、毎月10〜20件の応募が継続して発生しています。
このように、接客・サービス職では、技術の高さと同じくらい「この人たちと働きたい」と思える雰囲気が伝わるかが重要です。そのため、店長や経営者だけでなく、現場のスタッフが自然体で出演する動画を中心に発信しましょう。
中途採用のSNSを応募につなげる3つの導線|視聴・プロフィール・応募の段階で整える
SNSで興味を持ってもらえても、応募までの道筋が見えなければ、転職潜在層はそこで離れてしまいます。そのため、転職者がSNS上でたどる段階ごとに、次に進むための導線を用意しておくことが大切です。
なお、SNSは応募という成果が出るまでに時間がかかるため、急ぎの欠員は求人媒体や人材紹介で埋め、中長期の母集団はSNSで育てるという分担が現実的です。両者の役割の違いと組み合わせ方は、SNS採用と求人広告の使い分けをまとめた記事で解説しています。
段階ごとに見ておきたい指標は、次のとおりです。
| 段階 | 転職者の行動 | 見る指標 |
|---|---|---|
| 視聴 | 動画を見て、会社や仕事に興味を持つ | 視聴数、平均視聴時間、保存数 |
| プロフィール | アカウントのプロフィールや過去の投稿を見る | プロフィールの表示回数、リンクのクリック数 |
| 応募 | カジュアル面談の申込、DMでの質問、応募をする | 面談申込数、DMの件数、応募数 |
視聴の段階|動画の最後と説明文で、次に見てほしい場所を示す
動画を見て興味を持った人も、次に何をすればよいかが分からなければ、そのまま次の動画へ流れていきます。そこで、動画の最後や説明文で「募集中の職種はプロフィールから」と一言添えるだけでも、プロフィールへ進む人を増やせます。
ただし、毎回の動画を求人告知にすると、売り込みの印象が強くなり見てもらえなくなります。そのため、ふだんは仕事や職場の様子を伝える動画を中心にし、募集の案内は動画の終わりや説明文に控えめに入れるくらいの比率がちょうどよいでしょう。
また、同じ職種の社員が出る動画をシリーズにしておくと、1本を見た人が続けて見てくれやすくなります。こうして複数の動画を見てもらえれば、仕事内容への理解が深まり、プロフィールや採用ページへ進む動機も強くなります。
プロフィールの段階|募集職種と採用ページへのリンクを置く
動画で興味を持った人の多くは、次にアカウントのプロフィールを見に来ます。そこで、プロフィール文に「何の会社の、どの職種を募集しているアカウントか」を書いておくと、見た人が自分に関係のあるアカウントだとすぐに分かります。
さらに、プロフィールのリンク欄には、採用ページや募集職種の一覧ページへのリンクを置きましょう。動画では伝えきれない給与・勤務地・休日・必要な経験といった条件を、リンク先で補うことで、転職者は応募するかどうかを判断しやすくなります。なお、リンクを設定できる条件はSNSごとに異なるため、各SNSのヘルプで最新の仕様を確認してください。
また、リンク先の採用ページが求人票の転載だけでは、SNSで伝えた雰囲気とのつながりが切れてしまいます。そのため、採用ページにも社員の声や動画を載せておくと、SNSから来た人が違和感なく応募に進めます。
応募の段階|カジュアル面談やDMの質問受付で入口を軽くする
在職中の転職者にとって、いきなり応募するのは心理的なハードルが高い行動です。そこで、応募フォームとは別に、「まずはカジュアル面談から」「DMで質問だけでもOK」といった軽い入口を用意しておきましょう。
カジュアル面談は、選考ではなく情報交換の場として位置づけ、志望動機を求めないことを明記しておくと申し込みやすくなります。また、DMでの質問を受け付ける場合は、誰が、どれくらいの時間で返信するかを社内で決めておくことが欠かせません。返信が遅れると、せっかく興味を持った人の熱が冷めてしまうからです。
このように、話を聞くだけの選択肢があると、転職を決めきれていない人とも接点を持てるため、母集団が広がります。さらに、面談で直接話した人は会社への理解が深い状態で選考に進むため、入社後のミスマッチを減らすことにもつながります。
中途採用のSNSで失敗しやすい3つのパターンと対策
中途採用のSNSは、始め方を間違えると、応募が増えないだけでなく、入社後の早期離職や社員とのトラブルにつながることもあります。ここでは、よくある3つの失敗パターンと、その対策を紹介します。
いずれも、発信を始める前に対策を決めておけば防げる失敗です。とくに中途の経験者は職場の実態を見抜く目を持っているため、新卒向け以上に、発信と実態を一致させる意識が求められます。
良い面だけを発信して、入社後のギャップを生む
SNSでは会社を良く見せたくなりますが、良い面だけの発信は、入社後のギャップと早期離職の原因になります。経験者は前の職場と比べながら情報を見ているため、きれいすぎる発信には、かえって不信感を持つこともあります。
実際、仕事の大変な面も含めて事前に伝える取り組み(RJP)について、マイナビの調査では中途採用でRJPを意図的に行っている企業が77.8%にのぼり、実施による変化として最も多かったのは「入社後の定着率が増えた」(33.1%)でした(出典:マイナビ「中途採用実態調査(2023年)」2023年7月実施、人事担当者1,600名)。
さらに、マイナビの別の調査では、転職者の51.3%が前の職場についてSNSなどに投稿した経験があり、企業の65.9%が元社員の投稿を見かけたことがあると回答しています(出典:マイナビ「転職者のSNS発信と企業対応に関する実態調査」2025年5月公表)。
つまり、発信と実態がずれていれば、口コミですぐに指摘されてしまうのです。そのため、繁忙期の忙しさや仕事の難しさも、乗り越え方とあわせて等身大で伝えましょう。
出演と投稿のルールを決めずに、社員とのトラブルを招く
中途採用の発信では、社員の出演が欠かせません。しかし、ルールを決めないまま始めると、出演した社員の不満や、退職後の動画の扱いをめぐるトラブルにつながることがあります。
たとえば、出演をお願いする際は、顔や名前を出してよいかを本人に確認し、同意を記録に残しておきましょう。また、中途入社の社員が体験を話す企画では、前の職場の社名や社内の情報に触れないよう、話してよい範囲を事前に伝えておくことが大切です。
さらに、出演した社員が退職したときに、動画を公開し続けるのか、非公開にするのかも、あらかじめ決めておくと安心です。こうした扱いは肖像やプライバシーにも関わるため、判断に迷う場合は社内の法務担当や専門家に相談しながら、出演と投稿のルールを文書にまとめておくことをおすすめします。
現場に負担を寄せて、更新が止まる
SNSは続けてこそ効果が出る施策ですが、撮影や出演の負担を現場に寄せすぎると、忙しい時期に更新が止まり、アカウントが放置されることになりがちです。更新が止まったアカウントは、転職者から「採用に力を入れていない会社」と見られてしまうため、かえって逆効果になります。
そこで、撮影は月に1回まとめて行う、編集は外部に任せるなど、現場の負担を抑えた仕組みを最初に用意することが大切です。あわせて、投稿の頻度は無理なく続けられる本数から始め、慣れてから増やしていきましょう。
また、担当者が1人だけだと、異動や退職で運用が止まってしまいます。そのため、企画の型や投稿の手順を社内に残し、複数人で回せる体制にしておくと安心です。SNS採用で起こりやすい失敗とその対策は、SNS採用のデメリットと対策をまとめた記事でも詳しく解説しています。
経験者の採用につながるSNS運用はADDICT ONEにご相談ください
中途採用のSNSは、ターゲットの設計から、職種に合わせた企画、撮影・編集、応募までの導線づくりまで、やるべきことが多い施策です。社内だけで続けるのが難しい場合は、採用に強い運用代行会社に任せるのも選択肢の一つです。
私たちADDICT ONEは、採用に特化したTikTok運用代行「Recruit ONE」を運営しています。これまでに累計100アカウント以上の運用、7,000本以上の動画制作、総再生数3.5億回の実績があり、ターゲット設計から企画・撮影・編集・分析までを一括で支援しています。
支援先には、本記事で紹介した警備業・消防設備業・建設業・美容業などの企業のほか、運用1か月目で総再生195万回に達した企業もあります。料金は月額20万円から、初期費用なしで、最低契約期間は6か月です。
運用代行の費用の考え方は、TikTok運用代行の費用相場を解説した記事で、他社の取り組みは、SNS採用の成功事例をまとめた記事で紹介しています。「経験者からの応募を増やしたい」「何から発信すべきか分からない」という企業様は、まずはお気軽にご相談ください。
中途採用のSNS活用でよくある質問
ここでは、中途採用でSNSを活用する際に、採用担当者からよく寄せられる質問にお答えします。
気になる質問から確認してください。
効果が出るまでどれくらいかかりますか?
数か月単位の中長期の施策として考えてください。
SNSは、転職潜在層に会社を知ってもらうところから始まるため、応募という成果が出るまでには時間がかかるのが一般的です。そのため、急ぎの欠員は求人媒体や人材紹介で埋めながら、並行してSNSを育てる進め方をおすすめします。
Instagramは中途採用にも効果がありますか?
20〜40代の接客・美容・サービス職などでは効果が期待できます。
Instagramは20〜40代の利用率が高く(総務省 令和7年度調査)、中途採用で取り入れられているSNSとしても最も多い47.9%でした(マンパワーグループ、2024年2月実施)。Instagramを使った採用の事例は、Instagram採用の事例をまとめた記事で紹介しています。
応募者のSNSを選考で確認してもよいですか?
確認する場合は、法令や行政の指針に沿って、慎重に判断する必要があります。
職業安定法に基づく指針では、求職者の個人情報は業務の目的に必要な範囲で、適法かつ公正な手段で収集することとされており、その例として本人により公開されている情報の収集も挙げられています(出典:厚生労働省「職業安定法に基づく指針」平成11年労働省告示第141号 第5の1)。
一方で、同じ指針では、思想や信条、社会的差別の原因となるおそれのある事項などは、原則として収集してはならないとされています。SNSには、こうした情報が含まれることもあるため、確認するかどうか、どこまで見るかは、社内でルールを決め、必要に応じて社労士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
BtoBや知名度の低い業種でも効果はありますか?
あります。専門的な仕事は、業界の外の人にとって新鮮な内容です。
「何をつくっているか」「どんな技術を使っているか」を分かりやすい言葉で見せる動画は、同業の経験者への訴求と、異業種からの興味づけを両立できます。また、地味に見える業種ほど発信している競合が少ないため、先に始めた企業が目立ちやすくなります。
社内に運用できる人がいない場合はどうすればよいですか?
企画や編集など、負担の大きい部分だけを外部に任せる方法があります。
撮影の出演や現場の案内は社内で行い、企画・撮影・編集・分析は運用代行会社に任せるといった分担にすれば、社内の負担を抑えながら発信を続けられます。弊社ADDICT ONEでも、採用目的のTikTok運用を企画から分析まで一括で支援しています。
まとめ|採用したいポジションを1つ決めて、経験者に届く発信から始めよう
中途採用のSNS活用は、求人媒体では出会えない転職を考え始める前の在職者と、先に接点をつくる施策です。採用したい年代と職種からSNSを選び、経験者が応募の前に知りたい仕事内容や職場の実態を、社員を主役に発信し続けることが成果への近道になります。
さらに、発信だけで終わらせず、プロフィールや採用ページ、カジュアル面談といった入口を整えておけば、興味を持った人を応募まで導けます。まずは、次の2つから始めてみてください。
- 募集したいポジションを1つ決め、その経験者の年代と職種から使うSNSを1つ選ぶ
- 中途入社の社員に「入社前に知りたかったこと」を聞き、最初の企画にする
「設計から運用まで任せたい」という企業様は、採用特化のTikTok運用代行・ADDICT ONEの無料相談をご利用ください。経験者に届く発信の企画から、応募につなげる導線づくりまでご提案します。


コメント